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・40万円のロレックスを持つのは普通の人、40万円のグランドセイコーを持っている人は恐らく時計好き。そんなイメージ。
・トゥールビヨンとクォーツの一番の違いは、技術そのもののイメージに人の香りがするかどうかだ。でもユーザの優しさを持って、無名の技術者が流した汗を感じることはできると思う。
・中学の時に祖父からもらった時計を今でも使っている。そのとき欲しかった時計は「デジアナ」。当時は不満だったが、私の力ではデジアナに世代を超える力を与えられなかっただろう。
・時計店の若い店員は腕のオメガを恥じている。成人祝いに両親に与えられたからだ。恥じる必要はないと思う。彼は自分の次の世代に繋げばよいのだ。
・腕時計を小宇宙に喩えた先人の達見に感嘆する。宇宙は物語を内包し、その物語は持主の人生と同調するのだ。
・私の左腕にある小宇宙は齢五十年。祖父がそこそこの成功を修め手に入れたものだ。共に過ごした時間は、もう既に私の方が長い。
・祖母に中学の入学祝いをもらうために、母の実家に行ったときのこと。念願のデジアナを買いに出かける前、祖父は「時計ならばこれを使いなさい」と、腕の時計を外して私に手渡した。あまりに場違いな提案に、祖母は驚き祖父をたしなめるが、祖父の決心は変わらない。
・無口な祖父だった。でもそのときの視線の雄弁さは印象に残っている。
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