会社のガードマンがベルトから下げている、ミニマグライトが気になる。さっと取り出して使いやすそうなホルスターがいい。同じライトを持っているのだけど、付いていたケースは単なる袋で、今ひとつかっこよくないのだ。探せば同じホルスターがあると思う。でも、物欲よりも創作欲の方が強い。
まとめ買いしたヌメ革と、ミニマグライト。
現物当たりでスケッチし、型紙を起こす。初心者仕事だからいいかげん。
皮を切り出す。
切り出した皮を合わせてみる。うーん、こんな感じ。
目打ちで皮に穴を開ける。この行程で大きな音が出るから、平日の夜には作業できないのだ。
一本の糸の両端に針を付け、二本の針で縫っていく。
一目一目丁寧に……なんて書くとえらく大変な作業に聞こえるけれど、縫い目はちょっとしかないから、あっという間に完成した。
細かいことを気にしなければ、予想以上の出来。やるじゃん、俺。
早速ベルトに付けてみた。格好いい。何度も出し入れして喜んだ。
「嬉しいんだから、いいじゃん」
奥さんに自慢すると、「そんなもの、いつも持ち歩くの?」とつれない。格好いいから作ってみたくなっただけだと答えると、「懐中電灯を格好いいと思う感性が判らない」
彼女は、夫の気持ちを汲み取らないことを、楽しんでいるかのようだ。
ま、いいか。