どちらが大きく漕げるか勝負を仕掛けてくる息子。それは望むところだ。まだ君に負ける訳にはいかない。
吊金具がキシキシと音を立てる。植木が揺れて視界が全部空になる。ビュー、ビューと、耳を撫でてゆく風が心地よい。久しぶりの感覚だ。「パパやるねぇ」
「おつかれさまでした」の声に下を見ると、コーチがそこに立っていた。ブランコから慌てて降りて挨拶を返す。笑顔が爽やかでこちらは居心地が悪い。
彼は再び勝負を挑んできたが、もうブランコには乗らなかった。「ふぅん」と呟き、滑り台に興味を移してしまう。私はその様子をベンチに座って見守る。
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