空中元素固定装置ではない。
男には旅立たざるを得ない時がある。そして旅に出てはいけない日がある。さらに、その二つが同時に来る事もある。
そんな夜は無理矢理自分を抑え付けるより他はない。要するに家から出なけりゃいいのだ。簡単さ。
用意するのは、角とグラスとソーダ水。三谷幸喜のエッセイ集、それからあーちゃん。
今夜はかしゆかも来てくれた。賑やかでいい、や。
氷を入れたグラスにメジャー代わりのショットグラスで二杯、角を突っ込む。そして口のところまでソーダを注ぐのだ。
流行りのハイボールだ。俺だってちっとは世間を気にするんだぜ。ストレート一本槍にも飽きたしな。拘ってた訳じゃないしな。
男のこだわりって奴が如何に格好悪いかは、我儘を言うカリメロを見ているとよくわかる。愛嬌でごまかせない年になったら、ああいう行為は避けるべきだ。そうだろ、かしゆか。
かしゆか?
静かだな。まあ、あと一杯呑んだら饒舌になるだろう。今度はストレートがいいな。氷溶けちゃったしね。拘ってないしね。
寝る時間があるうちに、切り上げないとね、あーちゃん。呑み過ぎないうちにおわりにしよう。
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