2010/11/06

「非コミュ」から脱出する10の方法

これは余りにも思い当たる事が多いので、Evernoteに保存しておいたテキスト。自分用メモなのだが、有用だと思うからコピペする。

出展が思い出せないので、マイミク限定ということで。

「コミュニケーションの舞台」にあがる意欲が減衰し、舞台から退却している人――いわゆる「非コミュ」。しかし、ポストフォーディズム化の社会において、非コミュは、まったく不利になる。本稿では、非コミュに悩み、そこから脱出したいと望む人のために、まず肝心の「コミュニケーションの舞台」にあがるためのアドバイスを紹介する。
富永恭子(ロビンソン) 2010年8月18日 08時00分


 コミュニケーション能力が劣っていると判定される、あるいは自ら「苦手」と思い込んでいる人がいる――こういう人は、自分や周囲から何かのきっかけでその「レッテル」を貼って/貼られてしまったがために、「コミュニケーションの舞台」にあがる意欲が減衰し、舞台から退却している人、いわゆる「非コミュ」だといえるだろう。

 しかし、協働とかフレキシビリティとか情動、差異が重視されるいわゆるポストフォーディズム化の社会において、非コミュは、まったく不利になる。そこで本稿では、非コミュに悩み、そこから脱出したいと望む人のために、まず肝心の「コミュニケーションの舞台」にあがるためのアドバイスを紹介する。

#1 初めて会う相手だと緊張して、何を話したらいいかわからない

 コミュニケーションは「観察」からはじまる。そして観察は「好奇心」に強く影響される。つまり、相手に興味を抱くことによって、結果としてコミュニケーションが発生するといえる。そして、興味を抱くためには、相手が何を考え、感じているのか、あるいはどんな背景を持っているのかを知る必要がある。したがって、自分をアピールするために「うまく話をしよう」とするのではなく、相手がどのような人物であるのかを探求することに徹すれば、話は尽きないはずだ。

#2 友人とは楽しく話せるのに、ビジネスだとうまく会話できない

 ビジネスの世界では、言動や結果の多くが「評価」される。さらに、それに対する有形無形の「報酬」や「罰則」が適用され、少なからず人々は、その判決を体験する。しかも、それらは人によって成されるため、往々にして不平等であったりするわけだ。

 コミュニケーション能力は、不平等という観点から見ると、きわめてやっかいな性質を持っている。自分がいじめられた、不当に恵まれなかったと感じると、この能力は損なわれやすい。つまり、逆に考えれば、評価に対する恐怖心や不信感を克服することさえできれば、友人と会話するときのように自然で魅力的なコミュニケーションを発揮できるということでもある。そして、そのきっかけとなるためには、ほんの少しの成功体験があればいい。

#3 質問されたことに対して、すぐに答えられず、話してもうまく伝えられない

 二つのタイプがある。ひとつは、単に「準備不足」。そしてもうひとつは、スターターピストルの音に怯えるように「臆病」であることだ。

 準備不足である場合は、必要な情報とそれに関連するファクトを紐付けて整理し、答えの引き出しを増やすべきだ。事例や引用は、コミュニケーションにとって強力な助っ人になることを覚えておこう。

 一方、発言することに対して臆病になっている場合は、まず、その反応の背景にある警戒心や恐怖心を払拭することだ。そのためには、トレーニングが必要となる。レスポンスの速さは、根底に経験則が働く。先に述べた「答えの引き出し」の整理をつけながら、その検索速度を早めるシミュレーションを日々行うことだ。準備が整えば、恐怖心は薄らぐ。テレビでも、お笑い番組をぼーっと観ているのではなく、ボケとツッコミのやりとりやタイミングを教材にすることも勧めたい。

#4 性格が合わないと、自分から壁を作ってしまう

 人は、不当に何かを奪われたという自己認識を持つと、強い自己不安を抱えるものだ。そして、自分を守るための防壁を築き始める。壁はどんどん高くなる。しかし、壁作りに熱心になるあまり、守ってくれるべき壁にいつの間にか自分が閉じ込められていることに気づかないのだ。そして気づいたとき、そこにはあるのは孤独だけということになる。

 しかし、考えてみよう――壁が作れるのであれば、出入口も作れるはずだ。壁を壊せといっているのではない。壁の外に出ろというのだ。自分を甘やかしてはいけない。

 ちなみに、1974年にアメリカで発表されたジョン・レノンのアルバムに「心の壁、愛の橋(Walls And Bridges)」がある。妻オノ・ヨーコとの別居生活、いわゆる「失われた週末」と呼ばれ精神的に落ち込んでいた時期に制作されたアルバムだが、音楽的には高く評価された。この中の収録曲「真夜中を突っ走れ(Whatever Gets You Thru The Night)」は、レノンにとって初のBillboard全米No.1シングルとなった。その後、「1位になったらゲスト参加する」と約束していたマジソン・スクエアのエルトン・ジョンのコンサートに飛び入り参加した。このコンサートには別居中のオノ・ヨーコが観に来ており、終了後楽屋で再会。「失われた週末」に終止符を打ったというエピソードがある。

#5 話が伝わらないとイライラして相手を攻め、自分の殻に閉じこもってしまう

 基本的に自分の能力に自信がある人に多い。自分の意見ややり方が通じないとイライラして、他人に対する攻撃性を持ってしまう短気な性格でもある。そのため、優しさとか、人当たりのよさを身につけにくいのだ。だから、優しさや人当たりのよさを重視する集団からは排除されやすい。いわば、とても「イタい人」として嫌がられ、人格的に評価されなくなるわけだ。

 しかし、それは本人が望むことではない。だから、結果的に自分の中に逃げ込むという悪循環に陥ることになる。必要なのは「尊重」だ。相手のベースやスタイル、状況や考え方を斟酌して尊重し、性急に物事を進めようとしないことだ。

#6 友人の数は多いが、腹を割って話のできる仲間は少ない

 ホンネをさらけ出せる関係を築くには、時間と実績が必要だ。それができるのは、学生時代をいっしょに過ごした仲間ぐらいだろう。そこでまず「腹を割る」ということがどういうことか考えたい。

 この語源は、仏像の「腹」のあたりがたいてい空洞になっていて、そこへ寺の大切なお経をしまっておいたことから発している。このお経は胎蔵経と呼ばれ、仏像の腹は貴重な寺の宝をしまっておく倉庫として使われた。また、昔の日本人は、大切なことは腹で考えると思っていたらしく、「腹構え(はらがまえ)」や「腹癒せ(はらいせ)」などの言葉にその名残がある。

 つまり、「腹を割る」ということは、仏像の腹に収まっているお経を、その価値を理解する相手と共有することであり、転じて「価値観を共有できる」ことなのだ。意外に思うかもしれないが、この意味でいえば、目標を共有する職場の上司や同僚も実は「腹を割った」仲間だといえるのだ。

#7 強気で人に接したり、駆け引きすることが苦手

 本音でぶつかりたいというわけではないが、相手を力づくで組み伏せるようなことはしたくない。駆け引きは、騙すような気がして気が引ける――そういった感じだろうか?それが嫌なら、しなければいい。

 男女の関係でも「優しくしてもらいたければ優しくしろ」が原則。つまり、譲歩は譲歩を引き出す材料になるということ。この「返報性の法則」は、事実、多くの実験で効果が認められている。誰もが知る童話の「北風と太陽」は、現実社会において実に的を射た教えなのだ。

 また、人は矛盾した行動をとりたくないという気持ちをもっている。ほとんどの人が、自分の言葉、信念、態度、行為を一貫したものにしたいという欲求があるのだ。これが「一貫性保持の法則」。これに従えば、段階的にコミットメントを得ていくことで、相手を納得させながら目標を達成することができる。ポイントは、しっかりコミットしてもらうこと。さらに、他の人にも公にコミットしてもらうことで効果は上がる。

#8 上司に言いたいことを簡潔に伝えられず、逆に用件について質問されてしまう

 この場合、俗に言う「ほう・れん・そう」(報告・連絡・相談)のスキルが貧弱だということがいえる。報告はプレゼンテーション、連絡は日常のコンタクト、相談はネゴシエーションである。まずは、この区別を明確に理解しなければならない。

 そして、上司への報告では、相手が欲しい情報は何かを知っておき、関心を持ちそうなことから報告することが望ましい。報告とは自分を売り込むセールスの場であり、すべてが途中経過であり、次に続くものであることを忘れてはならない。また、連絡は、密であるほど信頼される。しかもそれは、手短に素早く行わなくてはならない。そして、上司は、相談されたいものである。だがそれは、「早めに、短く、タイミングよく」が原則となる。

 ちなみに、イスラエル諜報機関モサドの優秀な分析官は、トップへの報告のときメモ無しでブリーフィングできるという。

#9 話の論点がずれてしまい、話がかみ合わなくなることがよくある

 論点がずれたり、相手と話がかみ合わないときは、自分を正当化することに汲々としている場合が多い。つまり、「自己愛的意識」が自己を正当化するよう根底に働きかけているということだ。

 そんな時、たとえば自分に不利なことを言われると、頭の隅では相手の言い分を肯定しながら、その言葉を目の前から打ち消したいという気持ちに駆られる。そのため、表面的な自己正当化を続けざるを得ず、話がかみ合わないという状況になる。相手から見ると多くの場合、「不利なことを言われると毎回逆に自分が被害者であるような話を持ち出して論点がずれる」というパターンになる。

 こういった状態を避けるには、これまで「走りながら考えていた」のを「歩きながら考える」ことに変えるか、「少し立ち止まって考える」ことを勧めたい。そして、自分の都合だけでなく、相手の立場を考えること。自分の価値観や概念を絶対視するのではなく、違う意見にもよく耳をかたむけることだ。

#10 相手の思いを汲みとることができない(と、よく指摘される)

 自分の観点だけで話を進めることは、人の心を読み取る「読心術」に欠ける対応だ。読心術はコミュニケーション力を高めるために大切な要素だということを覚えておこう。

 心理学に「3V理論」というものがある。これは話し手が聞き手に印象を与える要素を測定したもので、これによると、「VISUAL」=見た目、しぐさ、表情が55%、「VOICE」=声の質やトーン、大きさ、話し方が38%、「VERBAL」=話の内容が7%という結果が出ている。つまり、人は、話の内容よりも目に見える情報や声から感じとる情報によって、相手を理解するということだ。話の内容だけ把握しても、相手の心を読み取ったことにはならない。五感を働かせて話を聞くことではじめて、自分も的確な回答を返すことができる。

 そのためには、まず、人の話を最後まで聞くことが大前提となる。話の途中で自分の話をはじめたり、答えを決めつけたりしてはならない。話をよくよく聞いて、相手の考えや本音を引き出すことがコミュニケーションのスタートとなる。そして、話す相手に身体を向け、顔をしっかり見て、その表情やしぐさをじっくり観察しよう。表情やしぐさは、相手の本音を知る大切なサインだ。話を聞いていたとしても身体はパソコンに向かったまま、仕事の片手間に聞いているのでは相手の本意を知ることはできない。


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