2010/11/24

謎の




これは武蔵中原駅下りホームにある看板である。信号機の裏側に付いている。恐らくどこの言葉の文字でもない、謎の記号が記されている黄色の菱形プレートだ。

いったい何のマークだろう。スパイの暗号? 秘密結社のシンボル? 謎が謎を呼ぶ。更に、ホームにも同じマークが記されていることを発見した。わからない。

真実を知り得ないのならば、仮説を立て論理を組み立ててしまう事で、心の平安を得よう。それで困る事は恐らく無いし、無意味な謎による不安は体に毒だ。

等々力陸上競技場に近い武蔵中原という場所柄、我が川崎フロンターレに因んだ事柄だろう。かつ「謎」というアイデンティティーを持つ看板だから、これは川崎フロンターレに関する謎を意味する記号である事は、容易に類推することが出来る。

さてチームに関する謎は数多いが、ここでは最も大きなものを採用したい。

それは「我々を勝たせてくれない何か」である。

前監督の知将関塚隆をもって知り得なかった、川崎フロンターレ最大の謎である。勝利を得られなかった我々は、今宵もこの謎に挑むことを余儀なくされ、数杯のコーヒーカップを空にして来たばかりなのだ。

この看板は勝敗を決するスポーツに付き物の「我々を勝たせてくれない何か」を粛々として受け入れることを、人の道として指し示す記号が描かれているのだ、そうに違いないのだ、そう決めたのだ、俺が。

駅ビルの居酒屋で自棄酒を喰らい、終電間近の中原駅ホームでこの看板を見たとき、サポーターもまたフットボーラーであることを思い出してもらいたい。

敗戦は受け止めなければならない。
勝利は喜ばなければならない。
スポーツに恨みや妬みが入り込む余地は無い。

この試合が終わっても、フットボールは続く。



※本当のことをご存知でも、どうか教えないで頂きたい。それは不粋というものだ。無意味な論理をこねくり回すことで、受け入れ難い敗戦を何とか受け入れようと努力しているのだから。


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