2007/04/25

流れ星

 娘:流れ星が流れている間に、願いごとを三回唱えると叶うって言うでしょう。

 丼:うん。

 娘:あれって、根拠があるんだって。

 丼:どんな?

 娘:流れ星って、すぐ流れちゃうでしょう。

 丼:そうだね。

 娘:だから、三回も唱えるためには、素早く願いごとを思い出さないといけないわけよ。

 丼:なるほど。

 娘:そのためには、強く強く願っていないとダメなんだ。

 丼:だね。

 娘:三回唱えられるぐらい強く願っていれば、その願いごとは叶うってことなんだって。

 丼:ふーん。

 娘:わかった?パパ。



わかったよ、ちゃんと話を聴いてるよ。
いつもいろいろ教えてくれてありがとう。

君のその目つき、前にも見たことがあるな。

そうだ、まだ小学校に上がる前、一緒に釣りに行った時だ。

天気がいいのに釣り場はえらく空いていて、全然釣れなかったね。
君は楽しそうに釣竿をあおっていた。

潮時表を調べると、その日は小潮だった。日が悪い。
空いているはずだ、釣れる訳ないから。

 丼:今日は釣れないから帰るよ

 娘(5歳):一生懸命やれば、きっと釣れるよ。

このときの目だ。
あの頃下から見上げていた君の目は、今も全く変わっていない。

 丼:お魚いないんだよ、今日は。

しょんぼりしながら片付ける5歳の君。
今だったら
「どうして魚がいない日に釣りになんかするの」
なんて、悪態をつくに違いない。

変わっているようで、変わっていない。
変わっていないようで、変わっている。

成長とはそういうものか。

また釣りにいこうよ。
夜釣りにすれば、流れ星が見えるかもしれない。


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