別に隠す必要もないと思うが、
個人情報云々と騒ぐのが流行っているので、
子どもの本名は一応伏せている。
しかし「娘」、「息子」と言い続けるのも味気ない、よね?
娘がまだちいさい頃「おじょじょ」と呼んでいた。
お嬢さまと言うには余りにもちびっちゃいので「おじょじょ」なのだ。
この呼び方はちょっとこそばゆいらしく、
いつももじもじしながら「なあに」と返事をしていた。
ちょっとしたシンデレラ気分だったに違いない。
それから10年。娘は「お嬢さま」と呼ばれても不自然ではない年齢になった。
しかしシンデレラにしては態度が不遜で、
ちいさい頃の呼び方だと「はぁ?」とか「ん、だよ」なんて返事をよこす。
最早「おじょじょ」ではない。
思春期に入りたての娘はいつも思いきり悩んでいて、
話しかけると精一杯の生意気を返してくる。
縦よりも横に伸びる時期らしく、以前よりふっくらとしてきた。
「まったく君はちんちくりんだねぇ」とからかうと、
「パパに言われたかねぇよ」と悪態をつく。
それを言うなら、
パパじゃなくてオヤジでしょ、
おじょじょ。
あ、これだこれだ。
そっくりだよ。可愛いなあ。
ポチっとしちゃおうかな。
お嬢さん猪年だからピッタリだよね。
そう、君はうり坊だ。
自分の大きさも知らずに、
果敢に体当たりを続けている。
まだ受け止められる。
あとちょっとならば大丈夫だ。
いつまでも受け止めていたい。
すぐに大きくなっちゃって
さらに残念なことに、体当たりも止めてしまって
大人になってしまうんだろうな。
でも、それまでは
君のことを「うり坊」と呼ぶことにするよ。
心の中で、内緒で。
0 件のコメント:
コメントを投稿