2007/03/14

頼むから…



チョコレートを肴にウイスキーを呑むのが好きだ。元々甘党なんでね、ウイスキーだって甘いから好きなのかも知らん。
両方とも甘いから合わせるのが結構難しい。どちらが勝ってもうまくない、バランスが大事なのだ。所謂ミルクチョコレートは甘すぎて全部ダメ。かといって一頃流行ったカカオ99%は、カカオの粉っぽさが口に残りウイスキーを不味くする。アフターエイトもぴったりとは行かない。
コンビニで入手可能なチョコレートで一番いいのが、画像の「チョコレート効果カカオ72%」。節度のある甘みと仄かに残るカカオの香りが、バランタインによく合う。光沢のある深緑色の小別包装は、上質なベルベットを想わせる優雅さだ。
今夜どこかのバーカウンターに佇む聡明なひとも、そんなベルベットのドレスを身につけているに違いない。背は高くなく低くなく、細身で色白で…一人でウイスキーを呑んでいると、そんな空想をしてしまうこともある。
ふとチョコレートのパッケージを見ると、「元気の1粒、チョコ習慣」なんて書いてある。

健康食品だったんだ、これ。

するとさっきまで某女優をターゲットに像を結びつつあった架空の隣人が、緑色のジャンパーを着てインスタントラーメンのような髪型のサッカー監督に変貌してしまった。しかも最初からジャストフォーカス。
監督は容赦なく責め立てる。
「さっきの水泳だけど、あれなんで500で休んじゃったの。1000は泳げたはずだよ。気持ちが足りないんだよ、気持ちが。」
「仕事もそうでしょう。会議は戦争なんだよ。戦争するのに愛想笑いをしているような人は殺されちゃうんだよ」

もう、そろそろ、止めよう。グラスを干してボトルにキャップをする。

監督はベルベットの女優に戻った。腕を組んでこっちを睨んでいる。
席を立つと「ちゃんと歯を磨いてから寝てくださいね」と言い残して彼女は消えた。


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